フランスの妄想研究を出発点として独自の精神症候学、人間学的精神病理学を築いてきた著者の代表的な論文を収めた著作選集。「妄想」「幻覚」「人間学」を柱に、生物学的研究や操作診断に回収されない人間精神の病理を捉えようとする著者の歩みを集約する。著者の人となりを窺わせるエッセイも間奏曲的に収める。
【主要目次】
Ⅰ.妄 想
パラフレニーとフランスの慢性妄想病群
40歳以降に初発する幻覚妄想状態の臨床的研究――特に予後の見地から――
40歳以降に初発する幻覚妄想状態――特に性差、発症年齢と予後との関連について――
ルサンチマンと妄想形成
Intermezzo(間奏曲エッセイ)1
ド・スタールの鷗/サンタンヌ病院の図書室/最後の一日/嘘と妄想
Ⅱ.幻 覚
フランスの幻覚研究の流れ
統合失調症の仮性幻覚
一級症状の幻聴に関する一考察
自責・加害的な強迫症状――統合失調症性強迫への一寄与――
考想化声
Intermezzo(間奏曲エッセイ)2
ピエール・ジャネの復活――『症例マドレーヌ』に寄せて――/ジャネとフロイト/編集後記(『臨床精神病理』)
Ⅲ.人間学
精神医学史から見た人間学
MAO阻害薬(Safrazine)によるOptico-neuropathyの一例
無力妄想
退行期うつ病とメランコリー問題
精神病症状の層的評価――人間学的精神病理学の立場から――
祈 り
Intermezzo(間奏曲エッセイ)3
モラリストの系譜――保崎教授還暦に寄せて――/浅井教授と精神病理学会――浅井教授のご退職に寄せて――/鹿島教授の還暦に寄せて/北方の光――木田元先生の思い出――
解 説(古茶大樹)
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