群馬病院出版会は、わが国の精神医学の質を高め、地域医療に貢献する特定医療法人群馬会の基本理念に基づいて、２０１０年４月群馬病院内に設立されました。当出版会は、精神医学の臨床教育を推進し、関連する書籍や冊子の企画、編集、出版を行なう非営利部門です。

昔も今も、読書が人の教養を高め、人間性を深めることに疑いの余地はありません。しかしインターネットの普及に代表される近年の情報環境が人々の活字離れを促進し、さらに出版界における大量生産・大量消費の傾向は、著作の賞味期間を短縮し、良書の出版をますます困難にしています。

当出版会は、患者さんとともに院内新聞、広報誌Ｕｓｅ　ｕｓなどを編集し発行しています。一方、埋もれた名著や古典文献を発掘し、必要性がありながら採算ベースにのりにくい精神医学の良書を長く世に送り続けます。

教育はこれまで大学の主要な役割とされてきました。かつて大学医学部では毎週ケース・カンファレンスや読書会が開かれ、研修医、専修医に対してきめ細かな指導がありました。いま多くの大学において、目に見える研究業績を早く積み上げること、外部資金を調達することのほうに力点が置かれるようになり、時間と手間のかかる臨床教育は疎かになりつつあります。

当出版会は、全人間的な本来の精神科臨床を再構築するために、各分野から専門家を招いて教育研修セミナーを開催し、小規模で良質な討論と思索の場を提供いたします。このような特色あるセミナーと出版を通して、ささやかながら精神医学の発展に寄与したいと考えています。